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- 看護の現場で、入院中の患者さんの腰をあたためると、
お通じが出にくくて困っている患者さんのほとんどが、
便が出るようになったり、
つらい便秘が楽になったと感じていることがわかりました。
そこで、「あたためることは便秘に効果があるんじゃないか」と、
看護師たちの間で気づいたのが、そもそものきっかけです。 - そこで、実際に、腰をあたためると24時間以内に
どんな作用をもたらすかデータをとったところ、
75%の人が便やガスが出るという結果がでました。
さらに、1ヶ月何もしない状態と、1ヶ月あたためた時を比べた場合、
便の回数は変わるかという調査をしたら、
半数以上の人が変わったというデータもとれました。

- 皮膚をあたためると皮膚の温度が上がり、
その刺激が体の中にいきます。
そして、脊髄で皮膚からの刺激がお腹の運動にリンクして、
お腹がうごく。あたたかくて全体も気持ちよく感じる。
そのリラックス効果で腸が動く
という反応が出るのではないかと考えています。 - では、実際にどのくらいあたためればいいかというと、
通常の皮膚温より2,3度ぐらい高くなるのが
理想的だと思います。
だいたい、皮膚温は36度ぐらいだから、
40度ぐらいの刺激がいいかもしれません。
60度の濡れタオルで10分あたためると、
1時間たっても皮膚温は、通常の温度に比べて
2,3度高い状態が続いていました。
つまり、あたためて、その効果を出すには、今のところ
皮膚温が一度は40度ぐらいに上がる刺激と、
上がった状態をある程度維持する刺激、
この2つが必要だという見解です。 - また、リラックス効果により腸が動くという点では、
交感神経と副交感神経のデータが集まってきています。
60度のタオルではまず、あたためる刺激により、
交感神経(緊張している状態)がいったん上がり、
時間が経つにつれて副交感神経(リラックスしている状態)の
度合いがじんわりと上がっていく可能性があります。 - 花王から販売されている、蒸気温熱シート「めぐリズム」は
40度の刺激が5時間以上続きますが、
はじめから副交感神経が上がると発表されています。
最初に、看護の現場で行っていたのは60度のタオルですが、
めぐリズムと同じ40度の刺激でも、
便通が楽になったとのデータもあります。

- 私たち人間は、交感神経よりも
副交感神経がしっかり働いていることが大事です。
といっても、朝起きて、通勤電車に乗り、仕事して、
その中での人間関係に悩んだり……。緊張した状態、
つまり交感神経が働いている状態が続きがちになります。
日常生活の中で、交換神経だけが盛んだと、
どこかで人は参ってしまいます。 - 食事や睡眠時間を削って働く人も多いですよね。
逆に、食事や睡眠、便通などは副交感神経が働き、
リラックスな気持ちになれる時間です。
とはいっても、忙しい人はなかかなかすぐに、
交感神経が勝った状態からすぐに
副交感神経に切替えにくいのではないでしょうか。
それには、体の一部をあたためて、
刺激をくわえるのがいいかもしれません。
- それに、体のどこか1箇所が冷たいとよく眠れません。
皮膚の表面温度が均一になったときに、人はぐっすり眠れます。
だから、どこか1箇所でもあたためてあげる。
そうすると体全体があったまり、快眠につながります。
便秘がちな人も、あっためることで便通がスムーズになります。 - また、お風呂に入らずシャワーだけの人がいますが、
シャワーだけだと体はあたたまりません。
あたためるためにはお風呂に入ったほうがいいですね。
ほかにも、40~42度のお湯で足浴もおすすめです。
10分程度つかると、じんわりあたたまってきます。
お腹や腰をあたためる場合は、蒸しタオルがいいですね。
蒸気の重みで肌にフィットし、
皮膚の深部に伝わりやすくなります。
臨床実験で行っていたのは60度ですが、
かなり熱いお湯でタオルを絞るのは困難なので、
一般の家庭では40~50度ぐらいのお湯か
電子レンジであたためるのもいいかもしれません。

- 体をあたためることで、便秘が解消したり、
良く眠れるようになったり、さまざまな変化があります。
ただ、前提として、体を冷やすことは体に負担がある
ということも知っていてほしいですね。
夏の冷房で体が冷えたなと感じたら、
夜はお風呂につかってあたためてあげたり、
ファッションでも、肌の露出が多いと
その分冷えは絶対にあるはず。
自分の体がどんな状態にあるのか、
少しでも気にかけてあげることが大事だと思います。
特に、無茶なダイエットで、見た目は細いけど、
単に筋肉だけが落ちていて
脂肪はたっぷりあるような人は心配です。
みなさんには、ぜひ体のあたためを習慣にしてほしいですね。
聖路加看護大学教授。基礎看護学所属。
腰背部熱布罨法の整腸作用による生活行動への効果と心地よさや、
子どもが体の仕組みを学べるプログラムの開発など、
多岐にわたる研究を行う。
Photographer:Satoshi Osaka
Interviewer:Yukiko Morita









